【DHL】発送で失敗しないために大切な事
この記事ではコロナ禍で日本郵政での発送ができなくなったことにより日本から海外発送への利用が急増しているDHLでの配送で失敗しないために、気をつけたい点と有効利用したいオプションサービスをまとめてみたいと思います。
DHLはEMSと比較にならない速さで配送され、 コロナの影響で世界中の配送が混迷する中でありながら、そのスピードは衰えていません。 素早く届くことで、バイヤーからも非常に高評価をいただけています。
ここで考えたいのが置配についてです。
アメリカでDHLの置配をされる場合の注意点
コロナの影響で日本でも置配(玄関の前等に荷物を置く事で配達完了とする方法)が徐々に主流となってきていますが、DHLで海外に配送する場合にも置配は頻繁に行われています。
しかし、DHLの通常配送では受取署名は必須ではありません。
そのため、DHLからの事前の連絡が無いまま、バイヤーの自宅に置配されることが多くあります。
(※以前はEMSでは受取署名は必須とされていましたが、各国の郵便事情によっては署名されない場合があるため、現在では日本郵政のホームページ上で受取署名必須とは記載されておりません)
また最近日本のAmazonのアプリでよく見かけるようになった、置配の際に箱が配達場所に置かれた状態での画像(配達後、玄関前等置配した場所に箱を置いた状態で撮影した上記のような画像)がアップされるような仕組みもありません。
さて、この置配やそれに関連して、皆さんの発送先はアメリカ宛が一番多いと思いますので、 アメリカ宛の配送について考えてみましょう。
米国関税$800.01 USDの壁
アメリカのバイヤーに販売した場合、申告した商品価格が$800.01 USDを超えると、2020年6月現在、 基本 関税がバイヤーから徴収されます。 (※関税のルールは、貨物の内容で細かく細分化される他、 情勢で変更になることがあります。また国によっても異なりますので一様ではありません。)
そのため$800.01以上の商品は関税の支払いが完了していないと置配されません。
ODD(配達前にバイヤーにSNSやメールにて連絡がいく仕組み)での事前支払いか、 配達時にバイヤーが対面で直接関税を支払わない限り、置配はされません。
eBay の署名ルール
ここで気をつけたいのが、”eBayでは$750以上の商品であれば、 受け取り手のサインの確認が必須”というルールです。 (※eBayのルールでは商品価値が$750未満の場合は受取のサインの有無は任意です。)
普段から全ての注文の配達・受取サインの有無をeBayが調査しているわけではありませんが、 配送トラブルがあった際には、$750以上の商品では受け取り手のサインが証拠として必要になります。
従って、DHL発送の場合、$750以上~$800以下の貨物で置配されたものは、eBay的には受取署名が必須であるにもかかわらず、それを証明するものがないため、商品を受け取っていないといったバイヤーからのクレームがあった場合には、セラーが敗訴することになりがちです。
DHLで発送した$800以下の商品でも受取サインをもらう方法
問題になるのは、上述しましたように、DHLでは受取署名が必須ではない$800以下かつeBayのルールでは受取署名が必須となる$750以上の商品です。
この解決策として、DHLで受取人の署名を必須とする方法に、Direct Signature (600円)というオプションがあります。
$750以上~$800以下の価格帯での商品をDHLで発送する場合には、トラブルの際のリスクを回避できることを考えると、このオプション(Direct Signature)の利用は、有効な手段であると思われます。
*$800.01を超えた商品を発送する場合、関税の支払のためバイヤーはDHLに接触することが必須になるため、バイヤーが知らずに置配されることはほぼ無いと思われます。
DHLではバイヤーの受取拒否による返送料はセラー負担!?
置配とは別にDHL発送で注意が必要なことに返送料の問題があります。
「関税がかかることを知らなかった」「想像以上の関税で予算オーバーしてしまった」などと 言ってバイヤーが商品の受け取り拒否をした場合、EMS発送だと何もしなくても時間が経過すれば、ほとんどの国からは日本に自動返送されます。
この点に関し、DHLはEMSと大きく異なります。
DHLで受取拒否が起きた場合、必ずDHLからセラーに連絡がきます。
なぜなら各国で税関を通過後(=関税額が判明後)に受取拒否をされた場合には、 返送料はセラー負担になってしまう!?からです。
更には再輸入税も発生!?
その上、税関金額判明後の受取拒否の場合、返送の際に日本税関で再輸入税がかかってしまいます。
「返送料」+「再輸入税」というダブルでのコストが発生することにより、DHLでの返送はEMSでの返送より明らかにコスト高になってしまうのです。
※受取国の税関通過前であれば返送しても、再輸入免税が適用されるはずです。
EMSで再輸入免税の適用をされていた方はDHLでもむずかしくないのでは?と考えがちかもしれません。ただし、EMSと民間キャリアであるDHL・UPS・FedExでは再輸入免税への手続きは大きく異なります。また、これはキャリアだけでなく商品カテゴリーによっても条件に違いがあるため、一概に再輸入免税を適用できるとは考えない方がよいかもしれません。
これらをふまえると、DHLで発送の場合にはEMSで発送する時と比べて、より注意深く関税についてバイヤーに事前周知し、関税による受取拒否を防がなければ、返送料と再輸入税で赤字となってしまう可能性があります。
DHL発送は非常に早く配送されるため、顧客満足度はとても高いですが、 EMSと大きく異なる注意点もあるので、それらをあらかじめ認識し、オプションやバイヤーへの対応策含め準備をしたうえで上手く付き合っていくことが重要です。